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PROMO STAFF

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インタビュー

【後編】京都で培った「侍魂」で役者の道を突き進む!カナダで活躍中の役者嵯峨 裕次郎にインタビュー!

カナダで役者として活動を続ける嵯峨 裕次郎さん。
ご自身の祇園囃子や人力車の俥夫の経験を活かして、侍魂に重きを置いて精力的に役者の経験を積まれています。

後編では、人力車の俥夫や祇園囃子でのご経験のお話を通して、生まれ育った京都への想いや畏敬の念を話して頂きました。

「海外に住んでいても、年に一度祇園祭の時期には可能な限り戻ってくる」という裕次郎さん。

日本ならではの文化や価値観を大切にしつつ、異国の地で奮闘する彼の姿勢は、同じように自分の夢に向かって頑張る全ての方の胸を打つものではないでしょうか。

人力車の俥夫をする上で得られた、嵯峨嵐山のお寺の恋物語についても紹介しています。
ぜひ、最後まで読んでいただけたら幸いです。

■プロフィール
嵯峨 裕次郎(さが ゆうじろう)



カナダ在住の日本人俳優。京都市出身、育ち。東映俳優養成所にて、殺陣、所作、着付け、演技を学ぶ。
祇園囃子や人力車の俥夫の経験を活かした侍魂をもつ。

主な出演歴:「Pachinko」(2022),CM「SUBARU IMPREZA」(2019)
「Sour Soy Sauce」(2019)「Solemn」(2019),某ハリウッド侍ドラマ(公開日未定)
エージェント:West Coast Talent Management
IMDb:https://www.imdb.com/name/nm9428459/
YouTube:Yujiro Saga - YouTube
Instagram:https://www.instagram.com/yujiro_saga/


裕次郎さんに根付く京都の文化ー人力車と祇園囃子の経験

ー裕次郎さんは京都ご出身というのもあり、人力車や祇園囃子のご経験がありますよね。

僕は人力車のバイトをしていたんですが、そのときに京都のいろいろな観光地をめちゃくちゃ勉強したんですよ。
お客様に喜んで頂くために、「この寺にはこんな歴史があり、この建物にはこんな意味があって、ここから写真を撮ったらきれいですよ」といったことを案内するんです。
そういうことを勉強していると、日本の文化ってすごいなって思いますよね。お寺の1つ1つにストーリーがあるし、嵐山のお寺には恋物語が多いっていうことがわかったり。

ーそうなんですね!何か物語があればお聞きしたいです。

では、平家物語の「祇王寺」の恋物語を。

~平家物語に登場する“悲恋の尼寺”祇王寺~

祇王寺は、夏は苔と竹林の緑が美しく、秋には紅葉がとても美しいお寺なんですが、悲恋の物語があります。

祇王寺の「祇王」という名前は、踊り子の名前からきています。祇王は、平清盛にすごく可愛がられていていました。
そんなあるとき「仏御前」というすごく若い子が来て、平清盛に「私の踊りを見て頂けませんか?」と言ってきたんです。 平清盛は「いらんいらん。俺には祇王がおるから、早う帰れ」ってつっぱねたんだけど、祇王はすごく優しいから「せっかく来てはるんだから踊りだけでも見てあげたらどうですか?」と言ったんです。
そうしたら平清盛が「祇王がそこまで言うなら見てやろう」と言って見たら、仏御前に心を奪われてしまったんですよ。
祇王も20代前半で若かったけど、仏御前は10代で若く、べっぴんさんで踊りもすごくうまかったんです。それで平清盛は、祇王をそっちのけで仏御前を可愛がるようになってしまったんです。
祇王は「私のことをあんなに可愛がってくれていたのに、どうして放っておくの。仏御前にも優しくしてあげたのに…」とこの世の無情を憂いて踊りを辞め、母と妹と共に出家し尼になってしまったんです。
すると仏御前が「祇王さんはどこに行っちゃったんですか?」と。そこで祇王が出家したことを知り、 「私も今は平清盛さんに可愛がられているけれど、いずれもっと若い子が来たら、私も祇王さんみたいに見捨てられてしまうのではないか。こんな世の中は嫌だ。」と言って、仏御前も祇王を訪ねて出家するんです。

その2人が入った寺が「祇王寺」です。

祇王寺には、祇王と祇王の母と妹、仏御前が祀られているんですが、死角にひっそりと平清盛も祀られているんです。
祇王にとって平清盛は、自分を捨てた人ではありますが、それでも可愛がってくれたことは事実だし、それに対して感謝の気持ちはあるということで、平清盛の柱も祀ったそうです。

あと一つ、「野宮神社」の恋物語もあります。

~源氏物語の「賢木の巻」の舞台、野宮神社~

京都には、日本最古のラブストーリーと言われている「源氏物語」にも描写されている竹林が美しい神社「野宮神社」があります。

光源氏と恋仲であった御息所。娘が伊勢の神に仕えるため、野宮で身を清める儀式に御息所は付いていきました。

光源氏は御息所に会いたい一心で、男子禁制の野宮に行きます。すると源氏は、御簾ごしにさっと榊(さかき)を差し出して、(※榊は常緑樹。枯れない。)「私のあなたへの想いは、この賢木のように枯れることはありません」という言葉を残して去っていきました。



ーとても素敵な物語が込められているんですね。ストーリーを全て記憶されているのも驚きです。

日本のお寺や神社には、一つ一つに物語があるんですよね。
はかなくも美しいと思える日本人特有の価値観、「日本人らしさ」を人力車の仕事で学びました。特に嵯峨の嵐山にはこういった物語や想いがたくさん込められているので、大好きですね。

ー祇園囃子についても教えてください。

京都の夏の最大行事「祇園祭」では、鉾(ほこ)・曳き山(ひきやま)と呼ばれる山車の上でお囃子をすることを「祇園囃子(ぎおんばやし)」といいます。
鉾・曳き山の中で先頭を進む長刀鉾(なぎなたほこ)にはお稚児(ちご)さんと言われる10歳前後の男児が乗り、「稚児舞」を舞ってしめ縄切りをするという伝統があります。
その後、10歳頃から「囃子方(はやしかた)」として、囃子の練習を始めます。

僕が乗っている鉾では他の希望者も多いので、3年経ったら休会しなければならず、再度やるには始めからやり直しになるんです。 それも大変だし、なったらなったで練習しに行くのも大変なので、たくさんの人が辞めていきました。それでも僕は続けていて、祭りの時期には必ず戻ってきて参加しています。

僕は祭りの雰囲気が好きだし、お囃子ができることなんてめったにないことだと思ってます。せっかく親が与えてくれた機会を捨てるなんてもったいないと思いますし。
祇園囃子には、10歳から70歳代までの方々が総勢80数人も集まるので、中には昔からずっと京都でお囃子をやってきた方もおられます。そんな方と接点を持てる機会なんて無いですし、その方々から学べることもたくさんあると思っています。

だから、僕はどの国に住んでいても、祭りの時期には必ず帰ってきてその方々と関わっていたいと思うんです。そうすれば、自分を見失わないでいられるというか、自分のアイデンティティを保てると思います。
海外に行っていたら、つい日本人らしさというか大事な考え方を忘れてしまうけど、やっぱり僕は京都の人間やし、京都の方々と関わっておきたいっていう想いがありますね。


日本人としてのアイデンティティ「侍魂」を演じる

ー人力車のお仕事や祇園囃子でのご経験が、侍のスピリットや侍魂としてご自身に根付いているんですね。

そうですね。京都で生まれ育ち、京都の文化に触れていたことは武器になると思っています。

いろんなハリウッド作品で、日本人じゃないアジア人が日本人役を演じていたんですよ。日本語を喋らせたらカタコトだし。
それでも映画業界は日本人ぽく見えて集客ができれば良いという感じでした。

僕はそれが悔しくて悔しくて仕方なかったんです。

だから僕は、日本語をきちんと話せて、かつ刀を使える、しかも自分で着付けもできるし侍の所作もできるっていうことを武器にしようと思ったんです。
その意味では、東映俳優養成所での経験もすごく活きていますね。

ー今後やってみたいことや、キャリアプランについて教えてください。

僕は映画の「スターウォーズ」が大好きなので、一番の夢は「メインのジェダイになること」です。

自分の芸名「嵯峨」もスターウォーズを由来にしています。
1977年公開の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』から2019年公開の続三部作の完結編『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』までの9エピソードを「スカイウォーカー・サーガ」と言うんですが、その「SAGA」にかけて自分の芸名を「サガ」って付けました。
あとは、地元「嵯峨嵐山」の「嵯峨」。2つの好きなものをかけて芸名を「嵯峨 裕次郎」にしたんです。

だから、その夢を叶えるためには永住権をとることも目標としていますし、国内外のいろんな作品に出ることも目標にしています。

もしスターウォーズに出るという夢が叶ったら、そこから先はまだわかりません。
そこで完全燃焼して満足するかもしれないし、実力がついたからもっと先を目指そうってなるかもしれないし。もちろん、いずれ結婚はしたいし子供も欲しいですが、まずは役者の夢が大事という感じですね。


夢を叶える秘訣とは

ーそれでは、夢を叶え続ける秘訣って何でしょうか?

僕はまだ夢を叶えてはいませんが、役者の仕事をもらえている理由は「社交的であることと、柔軟性があること」だと思います。
僕は社交的な性格なので、周りに「スターウォーズに出るのが夢だ」ってよく言ってるんですよ。そうすると周りに認識してもらえますし、「こういう話があるよ」ってもちかけてもらえることもあります。

だから何か話をもらえたときは、すぐに飛んで行けるようにしています。
例えば、持ち物はだいたいスーツケース3つ位で全て収まりますし、髪型もどんな役柄が来てもいいように伸ばしておいたりしています。長かったら切ればいいだけなので。
「役者をするためには何でもします!」というスタンスを見せることが大事だと思っています。


ー最後に、PROMOユーザーに伝えたいことがあれば。

子どもの頃から心に残っている言葉があります。

小学4年生のときに、漫画の「ルーキーズ」を愛読していたんですが、漫画に出てくる川藤先生が生徒に向かって「明日死んで満足か!」って言うシーンがあるんです。

その言葉が漫画のページいっぱいに書いてあったのがすごく印象的でした。それ以来、「もう役者辞めたほうがいいやろな」とか「会社務めしてた方が楽だろうな」っていう気持ちになることもあったんですけど、人生一回きりだし、「明日死んだら絶対不満足やな!」って思って頑張ってこれました。

それに似た言葉として、”YOLO”という言葉があります。
英語で「You only live once.」。
「人生一回きり」という意味の言葉の頭文字を取ったものです。
やっぱり死んだら金も何も残らないし、やりたいことやってから死んだ方が満足して死ねるやろうなって思うので、「後悔しない人生を送ろう」と思って俺は頑張っていますね。